ピーチな気持ち♪

No.1

 かわいくなりたい。
 女の子なら誰でも思うこと。
 ふっと、知らない女の子が現れたら…あの人達はどんな反応を示すのだろう。
 そんな考えが頭をよぎる。
 ちょっと危なくスリルな発想に自分でも驚いた。
 あいつらの顔がどうなるのか。
 実行しなきゃ、面白くない。

「面白そう! そんな事ならいつだって協力するわよ。」
 わたしは この作戦をマリーナに相談してみた。
 マリーナものってくれて、これなら上手くできそう。
「ちょっとスリルだけどやってみたくて。…でも1つ問題があるんだよねぇ。」
「あら なあに?」
「まぁ クレイにはばれないかもしれないけど、トラップにギアの2人には気づかれそう
 じゃない。」
「大丈夫よ、このわたしがいるもの。演技指導してあげる! 容姿もカツラに衣装と
 そろってるし。それにあいつらはパステルがそんなことするとは思ってないわよ。」
「…うん! そうだね。ふふっ 楽しみ!!」

 わたしたちは、まさにいけない事をしようとしていた。
 何かっていうと。
 わたしがまず変装してパステルとしてではなく、違った人としてあいつらに近づく。
 あいつらっていうのは、クレイ・トラップ・ギアの3人。
 彼らに1人ずつ近づいて、どんな反応を示すか試そうってこと。
 もちろん、正体は隠したまま。
 いつもとは違った彼らを見れるんじゃないかな。
 
 でも、わたしの方も大変かも。
 わたしだってばれないようにしなきゃいけないんだもん。
 演技の練習しなきゃ。
 …ふふっ、楽しみ 楽しみ。

No.2

「これならきっとバレないよね。」
 黒いロングスカート。
 ネイビー色のカツラをかぶりセットする。
 肩くらいまでの髪の長さ。
 グロリアスブラウン(ちょっと濃いめ)の口紅をつけ、大人っぽく仕上げる。
「…けっこう変われるもんだねぇ…。」
 自分を鏡で見て言ってしまう。
 変装なんてしたことないでしょ。(ミモザ王女のときは変装とまでいかなかったし)
 なんか自分じゃ無いみたい。
「面白いでしょ。自分が違う人になったみたいで。」
 準備を手伝っているマリーナがわたしに何か渡す。
「後はこれをつければ完成ね。」
 そういって渡されたのはカツラの色と同じネイビーのカラーコンタクト。
 そっとつける。
「うわぁ〜。」
 なんかホントに自分(?)って思ってしまう。
 目の色を変えただけでこんなにも違ってしまうものなの?
 なんか圧倒されてしまう。
「そうだパステル。最初は誰を誘うつもり?」
 う〜ん 誰にしようかなぁ。
「…この時間帯ならトラップはカジノにいるわよね。」
「そうねぇ トラップのことだからきっとね。」
「じゃあ トラップにしますか?」
「そうしますかね!」
 最初のターゲットはトラップに決定!
「わたしも変装してパステルの近くにいるから、ヤバイと思ったら合図してね。」
「うん。OK!」
 わたしたち2人の作戦がついに始まった。

(3)

 ざわざわざわ‥。
 夜のカジノには遊び好きの男共が集まってきてる。
 その中にあいつも混ざってる。
 どこにいるかな……いた!
 よーし 近くに寄ってみようかな。

「くそーっ また負けっちまった! こうなりゃ次当ててやるぜ!!」
 いつもと一緒で負けてるみたい。
 後ろにいるマリーナを見ると『今がチャンス』という合図をする。
 じゃ 作戦開始!

「隣いいかしら?」
 いつもは絶対使わない様な声と言葉でトラップの隣に座る。
「へっ? あぁ どうぞ どうぞ。」
 わたしは座ると同時にトラップのコインを一枚取った。
「1つだけいただいていい?」
 甘い声で『お願い』って感じで見つめると少し照れるようにトラップは答える。
「えぇ いいっスよ。」
 これがわたしパステルだと分かれば絶対『何でおめぇにやんなきゃなんねぇんだよ』
 って言うはず。
 なんとか最初ではバレてないみたいで良かった。
「ギャンブルお好きなの?」
 顔を近づけて聞く。
 何でこんなこと聞くかというと…ちゃんと考えてるんだ。
 何気ないことから話して最後にはトラップに好きな人がいるかどうかを言わせるように
 し向ける予定。
 これを言い出したのはマリーナなんだけど…まぁおもしろそうだし、それに女の子として
 気になるわよね。
 わたしが聞いた質問にマジな顔で答えた。
「ギャンブルは2番目に好き。」
 2番目? じゃ それよりも好きなのがあるんだ。
「あら じゃ 1番目は?」
 そうするとトラップは顔を少し赤らめた。
「…好きな女に決まってるじゃないっスか。」
「…好きな娘いるんだ。」
「まぁ…なんとなくあんたに感じが似てるかな。」
 えっ!? まさか気づいた!?
 ううん。気づいたらきっと言うはずだし…。
「初めて会ったわたしによく話してくれるわね。」
「…なんか初めてのような気はしなかったから。」
「そう…ねぇあなたの好きな娘に似てるなら…わたしじゃ駄目かしら?」
 何で自分の口からこんな言葉が出てきたのか分からない。
 聞くつもりなかったのに。
「…あいつの代わりなんかこの世にはいない。あいつじゃなきゃ駄目なんだ。」
 真剣な目。
 トラップのこんな目はなかなか見たことがなかった。
「…振られちゃったわね。…じゃあね 坊や。その娘によろしく。」
 わたしはその場を去った。
 気になるトラップの好きな相手。
 内心あのまま変装したわたしを受け入れてくれたら…そう思ってしまった。
 でも きっと返事はNOだっただろうけど。
 
 夜の街をマリーナを2人歩く。
 まだ街はまだまだ眠らない。
 …落ち込んでる暇はない。
 明日はクレイ・ギアどちらに近づこうかな。

 1998年7月22日(水)15時49分59秒〜8月06日(木)03時14分09秒投稿の、みすなさんの小説です。継続中。

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