もしも話(1)

(1)・・・もしもトラップがラスベガスに行ったら・・・

「ふっふっふっふっ」
俺は今、人生最大のギャンブルを楽しんでいる。この世界最大のカジノ・ラスベガスで。
こんな笑いがこみ上げてくるのも当然。
さっきルーレットで金が十倍になって返ってきたからだ。
これで今までパステル達に言ってきた「倍にして返してやるよ」が果たされることになる。
ふっふっふっ
今まであいつらが言ってきた「その倍が余計なんだよ」もこれで聞き納めだ。
特にキットンとクレイがうるさかったからな。
パステルも金に困らないで済むし、ノルが住める家を買える。
ルーミィーの魔法だって・・・。
そう思ってくるとこんな事で満足するワケにはいかない。
この金を二倍、三倍・・・いや思い切って百倍にしてやるぜ。
そうだな・・・よしあそこに賭けよう。
・・・・・何!外れた。
まあいい、まだ金はたくさんあるんだ・・・。
次は・・・次は・・・次は・・・・・・。


「でその調子で賭けていき、最後には全部すって帰ってきたと・・・」
クレイが俺を見下ろしながら言った
「まったくトラップはねー、そうゆう無計画な所がいけないんですよ。だいたい最初に勝った時点で・・・・・」
キットンはまだ何か言っているがもう俺の耳には聞こえてこない。
「なあ頼むよ、後五千・・・いや三千ゴールドかしてくれれば倍にして・・・」
俺が言い終わらないうちに、全員が言い返した
「それの倍が余計なんだよ」

(2)・・・もしもパステルが新聞配達をやったら・・・

私は今、マップを見ながら頭を抱えている・・・・。
えっいつもの事だから気にしなくっていいって?そんな事いわれたって・・・。(シクシク)
だってあーたダンジョンのマップならともかく町のマップなんだよ。
ううう、でも仕方ないと思う。
このマップって下手なダンジョンよりか難しいんだもん。
でもやっぱマップもって頭かかえるマッパーって、私ぐらい・・・。
ううううううーーー
ハッ、いけない、そうよ、落ち込んでばかりはいけないわ、パステル。
そうよ、方位磁針片手に歩いていけばいくら私でも迷うわけないわ。
我が貧乏パーティーの為に・・・・・・・・。
って自分で言ってどうするんだろう・・・・・・。
こんなになるのもトラップがギャンブルですったり、
キットンがいらないような薬草ばかり買うからいけないんだ。
だいたいトラップったら今まで何十回もギャンブルやっているのに一回も勝ったためしないもの。
キットンだって前なんかただの草を騙されて買ってきたし・・・。
あーでも私もこのあいだ無駄使いしたからあの二人のこといえないかも・・・・。
でもあれだってトラップやキットンが今まで使ったお金何かに比べれば・・・・。
でもそうゆう油断がいけないんだろうなー。
こういうことは我らがリーダークレイにしめてもらわなくては・・・。
そういえばクレイだってこのまえエベリンで・・・・・・。

      ・・・・・・そして太陽が西に傾いていく・・・・・・

(3)・・・もしもキットンが現代の医者になったら・・・

「先生、どうでしょうか・・・」
いかにも病弱そうな少年が私につめよった。
「そうですね、この薬草を一日一回、起きたらすぐに飲んで下さい
そうすれば一ヶ月もすれば治りますよ」
「はい、有り難うございます」
少年はさもうれしそうに薬草を受け取って出ていった。
ここは病院、それもキットンが病院長。
といっても他の医者や看護婦がいるわけではない。
キットン一人で開業しているのだ。
近所では「注射や薬を使わない、薬草使いのキットン」
と呼ばれている
「ふぅ・・・・」
もう店を閉める時間かな?
そう思いながら立ち上がったが、その時
「おい、やぶ医者、出てこい」
ややや、やぶ医者とは私のことかな。まったく、一体誰だ?
入ってきたのは体格のガッチリしているマッチョな人、
背中には真っ青な顔をした、これまた体格のいい人をからっている。
「おい、てめえか、この薬草を俺の弟にやったのは」
といってとりだしたのは一見キノコに見えて実は葉っぱの「キノコソウ」
これは確か・・・・・
「いいか弟は健康な体で今まで病気と言っても風邪くらいしkひかなかったんだ。
でも流行の伝染病にかかっちまって・・・・。でもな、兄思いのこいつは
あまり高い病院に行っては俺に迷惑かけてしまう。そう言って来たのがこの店だった。
そこでこの薬草をもらってきた。しかし治そう、治そうといくら飲んでも直りはしねえ。
逆にどんどんひどくなるばかり・・・・。どうこの責任とってくれる」
一通り話し終わった後に男は地面に膝をついた。
よっぽど話疲れたのだろう。
「あまり喋っては喉を痛めますよ、ここはこののど飴で・・・」
「やぶ医者のてにかかるか!」
と言い返された。
きょとんとした顔で男を見ていたキットン。
と突然笑い始めたではないか。
さすがに驚いたのだろう、男は逆にきょとんとした顔になった。
「ぎゃーはっはっははははーーーー」
ひとしきり笑ったキットン、息を整えながら
「あのですねー、キノコソウはただ飲むだけではダメです。ご飯と混ぜて
炊き込まなければ効果は出ませんよ」
「んな冗談だろう」
「いえいえ、神に誓ってウソは言いませんよ」
そもそもキットンが神などを信じているかは別として・・・・。
とりあえずその男は帰って行った。
「やれやれ帰ったか、トラップみたいにうるさい人でしたね。まあ暴力的な人では
なかったのが唯一の助けでしたね。まあ結構この商売ももうかりますからね。
我が貧乏パーティーの為に。
ぎゃーはっはっはっはーーーー」


キットンの笑い声が夜の町に響く。

そしてここ毎晩のように響く彼についた新たな名。

    薬草使いの変人、キットン

(4)・・・もしもノルが獣医になったら・・・

まずその病院に入った人はノルに驚くだろう。
体長、二メートルを越える長身のノル、太くガッチリした腕、それに似合わない優しい顔。
そしてまたその診察の仕方に再び驚くだろう。
いくらノルを怖がっている動物(猫や犬、時には蛇など)も彼の優い問いかけには必ず答えるのだ。
またあの大きい手からは予想のつかないような器用さで優しく動物をいたわる。
いつか「私以外にこの子はなつくことはない」などと言いながら来た
飼い主も病院を出たらその顔は何とも複雑になるのだ・・・・。
そういえば「私はこの子を育てていく自信がありません、あなたが育てて下さい」
などと言った人もいた。
しかしノルはそんな人たちに優しく、あの動物達に問いかけるように説得する。
そんな噂も広がり、ノルに人生相談(チョットオオゲサ)を持ちかける人もいた。
ノルは診察の合間をぬってそれに快く答えた。
近所の人たちはそんなノルに感謝し、そして何かあるときはすぐにノルに相談した。

だがある日ノルは自ら店をしめた。
もちろん町の人たちはその理由をノルから聞き出そうとした。
だがノルは軽く首を振り・・・答えはしなかった。
そして「さようなら、みなさん、、、ノル」という手紙を残して・・・町から去って行った。

「げっ、そんなぼろ儲けする商売を自分からやめただー」
全員が目をまん丸にしてノルを見た。
「俺だったらもっと人雇ってもっと儲けたのに・・・・もったいない」
「ノルはノルなりの考えがあるんだろう」
「そうそう、トラップなんかとは全然大違いよ」
「ねー、のりゅー、なんでやめたのかー」
ルーミィーが可愛らしい声で聞いた。するとノルは
「いや、他の獣医さんには迷惑だったそうだし、それに・・・・」
「それに?」
「そえに?」
私達が聞くとノルは恥ずかしそうに、
「みんなが何か心配だったから」

(5)・・・もしもクレイが募金活動をやったら・・・

「募金おねがいしまーす」
町に響くいかにも誠実そうな少年の声、そしてその声の先には黒髪のやはり誠実そうな
顔の少年。もちろんクレイ・S・アンダーソンである。
太陽はまだ上り始めたばかり、だが夏の日は・・・・暑い。
「おーい新人」
向かい側にいる募金活動とはほど遠い顔の男が声をかけてきた。
もちろん新人とはクレイのこと。
「今からが朝の通勤ラッシュだ、しっかり金稼げ」
自分がもらうハズのない金のために稼ぐのか・・・トラップだったら何と言うだろう。
「わかりました」
そんなことを思いながらも笑顔でこたえた。

周りに人があふれてくる。老若男女といわず犬も歩いていた。
「募金お願いしまーす」
再び声をかける。その声に反応したのかどうか、何人かの人が振り返る。
とその時、何人かの女の人がクレイに近づいてきた。
「あーら、いい男ね、こんなところで働かせるのはもったいないわ、一緒に来ない?」
「何言っているの、私が誘おうとした男を横取りしようなんて許せない!」
「ちょっと募金を・・・・・」
「私だって」
「私もよ」
おいおい、何でこんな事になるんだ?
これは嫌がらせか、それとも日頃のストレスを俺にぶつけているのか、
どっちにしても何かイヤな予感が・・・・・。
「おっ、お兄ちゃん、いい腕しているね。うちで働かないか、金はたくさん、女もたくさんだよ」
いかにもチンピラみたいな男が聞いてきた。
これって・・・・・ヤクザのボディーガ−ドってことか?
「おい、何の騒ぎだ?」
「さぁ、見ていいこうぜ、おもしろそうだな」
何か・・・・人が増えなかったか。
「ねぇー、おにいさーん」
「何言っているのよ、私が先に目をつけたんだからね」
「ふん、なによこのブス女」
「募金だって・・・・・」
「おにいさん、月給五十万でどうだ、こんなことよりか儲かるぞ」
もちろんクレイがうけることもなく、また断ることもできない。
もし聞き違えられたら、また混乱を起こすだろうから・・・・。
そして遠くから見ていた人から噂が噂を呼び、クレイは立ち往生していた。
「助けてくれーーーーーーー」
クレイの声が空しく響く。

それをビルの屋上から見ていた男と女、派手な服装、そして赤い髪の男
それに茶色に近い金髪の女・・・・・。
トラップにパステルだ。
「やっぱあいつは鈍感だな、最初に女に絡まれた時点で逃げ出したら何とかなったのにな」
「何にしてもクレイって・・・・」
二人そろって
「不幸だよなー」
「不幸よねー」

(6)・・・もしもルーミィーが食い倒れに行ったら・・・

目の前に並ぶ御馳走・・・・それを見ているルーミィーはもう口を開けたまんまどれを食べようか迷っている。
しかし何故この貧乏パーティーが食い倒れに、しかも御馳走を頼めるのか・・・・。
それは一週間前に遡る。

「ぱぁーるー、ルーミィーおなかぺっこぺこだおう」
パステルの袖を引っ張るルーミィー、そのルーミィーにチョコを一つやるパステル。
そしてそれをおいしそうに食べるルーミィー。
いつも見慣れた言葉、やりとり、そして溜息。
あぁ、いつかルーミィーにお腹いっぱいに食べさせる日は来るのかしら。
貧乏パーティのお財布管理、パステルの悩みだ。
そして手元には福引き券。先程買い物をしたときにもらったのだ。
ちなみにさっきルーミィーにやったチョコも買った物の一つだ。
今パステル、ルーミィーが向かっているのはもちろん福引き場。
何か当たれば・・・という目的で行っている。
福引き券は合計二枚。
一つは自分で、もう一つはルーミィーというのがパステルの考え。
まあハズレでもティッシュぐらいはもらえるだろう・・・・。
と思って行ってみて、終わってみれば大当たり。
パステルはもちろん(?)はずれ、ルーミィーは「食い倒れ食い放題五名様」ご招待。
で、誰が残ったかというと、実は誰も残っていない。
ルーミィーの分はまだ子供ということで許してもらえたのだ。
まさか大人一人分・・・いやそれ以上食べるとは店員も思わなかっただろう。

「ふー、食った食った」
「まったく、我々貧乏パーティーにはとんでもない御馳走ですからねー」
「もう俺、何にも食えねー」
「私も」
「ボクもデシ」
「俺も」
「おい、ルーミィー寝てるから静かにしろよ」
クレイが注意する。
見てみると・・・ありゃりゃ、口のまわりをベトベトにして寝ていらっしゃる。
「まったく幸せそうな顔して寝てやがるぜ」
ホント、まるで天使のような寝顔、やっぱエルフの子供だわ。
そしてその天使が呟いた。
「ぱーるぅー、ルーミィーおなかいっぱいだおう」

(7)・・・もしもシロちゃんが番犬をやったら・・・

「指令、三番地区で行われている美術展でいろいろな名画が展示されている、
公動員四名、目利き一名、戦闘員二名、防犯系統一名で侵入し、目利きが
選んだ絵画、三枚を盗み出せ、なおこちらから秘密員一名を送るので
その日まで美術館の地図、入手経路を確保せよ」
俺は溜息をついた・・・・。
今回の指令は大変なものだ・・・・。
俺達は盗賊団、そのうちでもまだしたっぱのほう
この仕事も結構長い、そろそろ出世してもおかしくないのだが・・・。
「ボス、今回の指令は?」
俺は何も言わずに紙を見せた。
「・・・・なかなかの大仕事ですね」
「これを成功させれば出世は間違いなしだな」
「で、これからどうするんです?」
「迷う暇はない、すぐに地図を入手せよ」
「はっ」

「何だ、たいしたことは無い、番犬が一匹だけか・・・・」
「しかしあなどれませんよ、どんな名犬かわからないので・・・・」
「何をためらっている、こっちは戦闘員まで連れて行くんだ、楽な仕事だ」
「秘密員も来たことですし、今夜・・・・」
「今夜、侵入だ!!」

夜は更けていく。
今夜は空一面に星が出ている。
そろそろ行動にうつるか・・・・。
「よし、行って来い・・・・」

「結果報告、絵画を盗むことに失敗、あちらは火炎放射や照明弾を所持していた模様、
詳しくは秘密員に聞いて下さい」

「おつかれシロちゃん」
照れくさそうに頭をかくシロちゃん
「大したことないデシよ。ただ人が来るのをじーっと待っていればいいデシから。
人が来たら警備の人かどうか匂いでわかるデシ。
他の人が来たときあったデシけど、熱いのとまぶしいのを吹いたらすぐに出ていったデシ」
「よくよく考えたら番犬としては最適だな、シロは」
「何を言っているんですか、ホワイトドラゴンの子供ですよ」
「俺達にとってはペットみたいなもんだな」
「違うと思う」
ノルは続けて
「僕らのパーティーなんだよ、シロは」

(8)・・・もしもあの脇役達が???をやったら(1)・・・

          ジョーンズ夫人の場合
大きな法廷に響くキンキン声、その先を見てみると・・・・。
「あぁーーたがたでは話になりません。いいですか、彼は温厚な性格、
さらにアリバイもある、そしてそれがかなり有力なアリバイなんですよ、
さぁ、このアリバイをくずせるのならくずしてみなさい、さあさあさあさあ!!!!」
「しかしですねー、ジョーンズさん。こっちには凶器についた指紋があるんです。
そちらのアリバイを崩せばこちらの方がゆうりになることですし・・・・」
「だからそのアリバイをくずせるんなら崩せと言っているのですお、あぁああーーー
何てまわりくどい人たちなんです、さっさとかたずけてあげたいくらいですわ」
この凄腕弁護士ジョーンズ夫人は、いままでこの勢いで話していき
これまで弁護した事件50件、内弁護に失敗した事件、0件である。
          ダンシング・シミターの場合
「すごいですね、一体あんな事を誰からならったんですか?」
「いいえ、我流です」
「そんな、あんなすごいモノは世界であなたくらいですよ、絶対に誰か
先生がいると評論家も言ってますが・・・・・」
「誰がなんと言おうと我流は我流。くつがえしはできませんよ」
それを聞いたアナウンサー達、思わずうっとり・・・・・・。
その隙を見てダンシング・シミターは車に乗り込む。
「やれやれ、まさかこんな事になるなんて・・・・・。思ってもいなかった」
一年前、ひょんな事から始めたヒュギアスケート、そこでシミター片手に
踊る彼の姿は・・・・・全世界を魅了した。
そしてこの名が付いた
    氷上の弁髪スケーター、ダンシング・シミター
          ギア・リンゼイの場合
「ふぅーーーー」
ギアは何度目かの溜息をついた。
まったく、ここ連日は本当に忙しい。
最近剣術道場を開いたギア、一ヶ月たった今、門下生はもう三十人
にもなっていた。
「あっ先生、おはようございます」
「あぁ、おはよう」
近所でも教え方がいいと評判の剣術道場、『剣術なんか今頃・・・・』
などという周囲の反対を押し切ってまで開いただけのことはある。
だがそんなギアにも悩みが一つあった・・・・・。
「ギア先生、ここんとこおしえてください」
「あぁ」
短くそう答え聞かれたところを自分で実際にやってみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
練習も終わりそのまま帰宅するギア。
いや、ちょっとした居酒屋に行く。もちろん常連だ。
「やぁ、ギアさん、いつものやつでいいね?」
「あぁ」
「なんかいっつもうかないしているけど、何か悩みでもあるのかい?」
「まぁね」
「よかったら相談にのってあげますよ」
「それがな・・・・・」
くいっとビールをあおって一言。
「うちの道場、なんで女だけしかこないんだか・・・・・・」

(9)・・・もしもあの脇役が???をやったら・・・

          レディ・グレイスの場合
カッカッカッッカッ
ハイヒールの音が響く。
これはレディ・グレイスのロングブーツ。(イガイガはありません!!!)
そしてミニスカートに上は白いブラウスという格好・・・・・。
この格好で高校教師ていっても・・・・・。誰か信じるかなー・・・・。
「起立、礼、着席」
クラス委員のクレイの声が聞こえる。
「出席とるよ」
凄みのきいたハスキーな声。
「パステル」
「はい」
「クレイ」
「はい」
「トラップ」
「・・・・・・・・・・」
「トラップ!!!!」
「いませーん」
「またかっ!!」
遅刻の常連者、トラップは今日も遅刻らしい。
ダッダッダッダ・・・・きぃぃぃぃぃぃーー、ガラァァァァーー。
「先生、すみません、遅れました」
「トラップ、あんた今日も遅刻だね!!」
「いえ、先生、うちの目覚ましが・・・・」
バンッ
先生が机をたたき・・・・・そして近づく。
「話していいのは私だけ!!ちがうかい?」
「そのとおりです!!」
背筋をピンッとのばしたまんまでトラップが言った。
なっさけなーーー。
「いいかい、トラップ、あんたが私の生徒になって二ヶ月、その間、遅刻二十回、
早退五回、欠席七回、どういうことだい?」
「いや、それは体が弱いから・・・・・」
「いっとくけど、あんたの健康診断、全部正常、体育はいつも5よ、それで何で体弱いのかなー?」
「いや・・・・それは・・・・・」
トラップ、悪あがきはよせって・・・・。
「とにかく、運動場十周、その後バケツ持ち一時間、教室掃除一週間に
私の雑用三日間、これでいいね?」
「そんな、それはねえだろう!!!」
「話をしていいのは私だけって言ったろう?ちがうかい?」
「いいえっ違いません」
何であの台詞言われるとみんなああなるんだろうなー。
「わかったらさっさと行って来ないか!!!」
「はいっ、行って参ります」
「よし、行って来い」
トラップもあんなになっちゃったなー・・・・・。
「よし、授業始めるよ、教科書の・・・・・・・」
まったく・・・・どうなってんだ・・・・このクラスは・・・・。
前の担任はあまりの悪ガキどもに寝こんだくらい。(悩みの種はたいがいトラップ)
このクラスが・・・・いいようにあしらわれている・・・・・。
外を見ると、一生懸命走っているトラップの姿があった。

                      語り手・・・・私、PIECE

(10)・・・もしもあの脇役達が???だったら(3)・・・

          ヒポちゃんの場合
「ブヒィィィィィィィーー」
キッキィィィィーー、ガタガタガタ、ゴットーーーン、ガッガァァァァァァーー
ガガガァァァァ、ドッガーーーン、ガシュガシュ、ヅバッ、ダァァァァァァー
「ブッヒヒヒーーン」
ゴトゴトッ、ドタドタガツッ、フゥフゥーーー、バキバキッ、ゴキャーダダダダダッ、
グルルゥゥゥーー、パスッポスパスッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ピーポーピーポー、キィィィーーー、バタンッ、カツッコツッカツッ
「警察です、署に同行お願いします」
ガシャッ
「ブゥゥゥーー」
          ピン・ゾロの場合
「まったく、こんななーーんにもシャベレン様な骸骨とコンビくんでえらーーい
損しましたは」
カクッ
ゾロのつっこみでピンの頭がちょっとずれる。
「まぁええ、損したと事よりも得したことの方が多いからなー・・・」
そしてゾロがピンのずれた頭をなおす。
「えぇ、みなさん。こんなながーーい漫才につきおうてくれてありがとさんです」
ピンもお辞儀をする。
「それではまたー、さいなら」
プツッ
テレビの電源を切る。
まったく・・・・あいつらも売れるようになったなー。
一年前、突如流星のごとく現れたピンゾロのコンビ。
またたくまに人気は広がった。
でも、まさかこいつらが本物のゾンビとスケルトンだとは・・・・だれも思わないだろうなー。
世間では「良くできた特撮だな」っていわれているくらいだから。

 1999年3月06日(土)09時47分31秒〜4月03日(土)21時58分03秒投稿の、PIECEさんの短編シリーズです。

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