フェリアの日記 特別編B,C

特別編B−1

「ふ・・・ざけんじゃないわよ!! なんであたしがそんなことしなきゃいけないわけぇ?」
 城全体にエレンの声が広がった。
「落ち着けって」
 二人の兄が止めに入るがそんなので彼女の怒りを押さえることはできない。
「絶対、反対!! あたしはあたしの道を行くんだから!!」
 兄たちの手を振り払ってエレンは再び城を飛び出した。
 
 話は10年たった頃になる・・・
 希望どおり、アルテアとイムサイは騎士になり、フェリアは現役魔法使いの冒険者
として活躍し、エレンはというとロンザの城にもどったところである。
 いわゆる呼び出しがかかり謁見の間に着くと、王と王妃と兄たちが勢ぞろいしていた。
 何事か不思議にエレンは思ったが、まさか縁談とは思いもよらず猛反対したのだ。
「シルミア、落ち着けよ。だから、陛下の話をまず聞けって」
「嫌、嫌よ。どうしてあんたの話を聞かなくちゃならないのよ? 今まで放っておいた
くせに。いまさら何の話だっていうのよ?」
 普通、王をあんた呼ばわりするのはエレンだけであろう。
 ガンとしても聞かないエレンに王も王妃も、また兄たちも手を焼くのだった。
「お前はもう26ではないか。そろそろ考えてもよいころだ」
「何がよい頃よ。どうせ、どこぞの馬の骨でも連れてきてるんでしょう?」
「・・・はぁ・・・貴女をこんなに口の悪いコに育てた覚えは・・・」
「あんたが育てたんじゃないじゃない。乳母だったでしょうが!」
 口でエレンにかなうものはいない。もっとも、この口の悪さが災いしているのだ
から、彼女に縁談だのという失敗しそうなものを持ち出す方もおかしいが・・・。
「馬の骨・・・か。そんなこと言われたのは初めてだな」
 陰から出てきたのは青色の外套を羽織り、二枚目の男・・・つまり縁談の相手と
いうことになる。
「初めまして、シルミア姫。私はセオ・マスベクト・ダードというものです」
「・・・ご丁寧にどうもありがとうございます。見てのとおりの娘のシルミアです。
 本日は遠いところからお足を運んでいただいて・・・」
「何のつもりか知らないけど、あたしは反対よ。あんたはそれでいいわけ?
 政略結婚で結婚してどこが幸せなのよ? あたしはね、あんたみたいな男を好き
になるような女じゃないわよ」
「こら、シルミア!!」
 兄の注意が入ってもエレンはなおも続けようと暴れる。
「それでは、好きにならせるようにするだけだ」
 あっさりとセオが言うと、ロンザ一族の4人は目を輝かせ、1人は呆れた顔をする。
「あのねぇ。自信たっぷり言ってるけど、絶対無理だと思うわよ?」
 再びエレンが反論すると、セオはにっこり笑って宣戦布告する。
「この世に絶対という言葉は存在しない」

――翌朝――

 エレンの縁談のことはたちまちにロンザ国や他の国にも広がった。
 もちろん、エレンはこのことを知っていないわけではないが、じっと部屋に閉じこもり
時々城下町を窓から眺めてため息をつくだけである。
「シルミア様、お客ですが・・・」
「お客・・・? あのセオとかいうのだったら追い出してよね」
「いいえ、女の方ですよ」
「女・・・?」
 侍女が通すと懐かしのフェリアの姿である。
「エレン!! 結婚するって本当?」
「フェリア、貴女っていつも単刀直入ね・・・。それもちっとも変わってないじゃない。
 縁談は親が勝手に決めたことよ、結婚なんかしないわよ」
 変わらぬエルフの姿を見て、エレンは少しほっとした表情になる。
「ふ〜ん。じゃぁ、誰か好きな人でもいるの?」
「それはいないわよ。ただ、親の決めたことに従うのが嫌なだけよ。セオが悪いわけ
じゃないわ」
「そっかぁ。あたし驚いて冒険ほっぽり出したんだよ」
「今、パーティとか組んでるの?」
「うん。ちょっと問題ある奴等だけどね。エレンはもう冒険者に戻らないの?」
 フェリアが訊くと、エレンは少し困った顔をして言った。
「どうしようか迷ってる・・・。あたし、エレメンタラ―に向いてないのよね。
 どうせなら転職したいけど、今回のこともあるでしょう? だから今は保留なのよ」
 実際、エレンは何度か冒険者相談にエベリンまで出向いたことがあった。
 しかし、素質があるエレメンタラ―の方がパーティのバランスから良いので、
結局今まで、ずっとエレメンタラ―でいたのである。
 転職をすることでレベルが戻ることはないが、転職試験にまた冒険者カードを
取るのが大変なのだ。
「それじゃ、結婚退職??」
「だから結婚なんかしないってば! とりあえず、縁談を終わらせてから考えるわ」
「そうだね・・・じゃぁ、あたししばらくここにいるから。今、ちょうど品揃えしてる
ところだから。そういえば、アルテアとイムサイは?」
「彼等なら、宿舎か城の廊下にでもいるんじゃないかしら。まだ新入りってところだから
遠征には行ってないと思うわよ。今度宿舎でも回ってみる?」
「いいの?」
「当たり前じゃない。あたしの家と同じなんだから」
「それ言いすぎ・・・」
 フェリアの突っ込みはエレンの耳には届かなかったようだ。
 久々に彼女たちは10年前の話や、現在の近状などを思う存分に話すのだった。


特別編B−2

「で、結婚するのか?」
「だから、しないってば、イムサイのばか。あんた何聞いてたのよ?」
 騎士団の宿舎にイムサイに会いに行ったエレンはまたも怒りを覚える。
「ごめんごめん。でも、セオってロンザの東にある国の王子なんだろ?」
「そうだけど、あんな小国の馬の骨となんであたしが!?」
「わかったって。んで、僕のところに来てどうしたんだい?」
 イムサイに質問されるとエレンは少し押し黙った。
「ちょっと顔見たくなっただけよ」
 ぶっきらぼうに言うと、イムサイは苦笑しだした。
「な、何笑ってるのよ?」
「だって、エレンってばかわってねーんだもんなぁ」
「失礼ね。そういうイムサイは変わったわね。アルテアの悪影響でも出てるんじゃ
ないの? すいぶんと口が悪いようね」
「口だけじゃなかったりして」
 イムサイは真剣な顔つきでエレンを見つめた。エレンはちょっと後ずさりをし始め、動揺する。
「悪い冗談はやめてよね」
「まっさかぁ。本気にきまってるじゃんか」
 さらにイムサイはエレンにつめより、にっこりと微笑んだ。
「何やってんだよ、イムサイ」
 ナイスタイミングにアルテアがフェリアを連れてやってきた。
「た・・・助かった・・・」
 エレンが呟く。
「ほんのお遊びだよ」
「お前の遊びは危険すぎるんだよ。エレン、気をつけたほうがいいぜ、あいつ、毎日
とっかえひっかえ女と遊んでやんの」
「何教えてんだよ、アルテア!!」
 動揺しながらイムサイはアルテアを叩いた。
「どっちもどっちじゃないの?」
 フェリアが言うと、二人が硬直したのは言うまでもない。
「本命は決めてないの?」
 エレンが訊くと、
「だってなぁ、外出ると、目をハートマークにして飛びこんでくるやつらばっかだもんな。
 俗に言うファンってやつ。
 ああいう女とかって興味ねぇもんな」
「そそ、もっと美人なのとかなら別だけどな」
 今度はお互い肩を抱いて笑いあう・・・
「すけべ」
 エレンが言うと、
「男なんてそんなもんだって。でもエレンなら俺の中でAランク。フェリアは対象外
だけどな」
「な、対象外ってどういうこと??」
 本気でフェリアが怒ると、
「だって、お前さぁ童顔なんだもんなぁ。美人以前の問題だぜ」
「ふんだ。アルテアに言われなくてもわかってるわよ」
 ほっぺを膨らませてフェリアが怒るとアルテアは彼女の耳元に囁いた。
「嘘だってば。本当は特Aだ」
「・・・本当に?」
「疑り深いなぁ、そんなに信用ならねーわけ?」
『ならない』
 最後は三人全員の声がそろった。

「シルミア姫、ここにいたのか?」
「げっ、セオ・・・」
 つかつかと青色のマントを広げてセオは入ってきた。
「あれが、馬の骨よ。あんなやつと上手く行くと思う?」
「いかねーだろうなぁ」
 こそっとエレンとイムサイがしゃべると、セオは不思議な顔をした。
「何の用よ?」
 エレンがセオに訊くと、彼は冷静な顔をして答えた。
「少し見てもらいたいものがあるんでね。ずいぶん探した」
「今見なければいけないわけ?」
「できれば」
 エレンはため息をついてイムサイに目で合図する。
「行ってこいよ。また会えるんだしさ」
 答えを聞くとエレンは仕方ないという顔でセオに向き直った。
「わかったわ。行きましょうセオ」
 

「ずいぶんと素直だなシルミア姫。ところで外は寒い、これを羽織ってろよ」
 宿舎を出るとセオは自分のマントを貸そうと脱ぎ始める。
「結構よ、あんたのその派手なのなんか着れるわけないじゃない」
 その手をエレンは静止して、答えた。
 セオは不機嫌そうにエレンを見たがすぐに機嫌を取りなおした。


特別編B−3

 セオはエレンの手を取り、乗り合い馬車の停留所まで連れていった。
「どういうことなのよ? あたし、城下町から出れないわよ?」
 そう、エレンは14年前のことが災いしていて、国王から外出禁止をいまだに
させられていたのだ。もっとも、警備が厳重で部屋から出るのも大変なのだ。
「許可はとってある」
 セオはそれだけ言うと馬車に乗り込んだ。
「行き先は?」
「ガイナ」
「ガイナ? 4年前に災害にあったところじゃない」
 エレンは不思議な顔をして馬車に乗り込み、セオからやや離れて座った。
「地理的なこと知ってるのか」
「あのね・・・、あたしは現役冒険者よ? バカにするのもいい加減にしなさいよ!!
 だいたい、冒険者じゃないあんたよりかは土地感も豊富よ。
 それにどんなに生活するのが、お金が大事かとかも知ってるわ」
 無意識のうちにエレンは立ち叫び、バランスを崩す。セオがエレンに手を貸そう
と差し出すが、エレンはパシッと手を払った。
「素直じゃないな」
「あんたに手を貸されたら身体が腐るわよ!」
 状況を楽しんでいるのかエレンは勝ち誇った顔で座りなおした。
「そうか、ならこの馬車は直に腐り始めるのか」
「・・・・・・。相当なバカじゃない?」
「世間的には問題ない」
 エレンは深くため息をつくと呆れたように外の景色を眺めた。
「無視か」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・、あんた、どうしてあたしと結婚なんかしたいわけ?」
 沈黙がしばらく続いた後、エレンは気にかかったことを質問した。
「シルミア姫、貴女は大嫌いなタイプだ。強情で自己中、我侭、全て当てはまる。
 女のくせに罵詈雑言、ソードは振回す、王女であるうえに質素な生活を好み、
冒険者などというわけのわからない職業に就いて。
 結婚できるだけでも有難いと思え」
 エレンはぐさぐさとセオの言葉が突き刺さった矢を抜きながら怒りをぶちまけた。
「・・・ざけんじゃないわよ!! 
 あんた、冒険者のこと一度でも調べたわけ? なりもしないでよく言えるわね。
あたしはこの道を行くしかなかったのよ! 今更戻れるわけないじゃない。
 誰が有難いなんて思うものですか!! 最初から結婚なんかするわけないわよ!!
 あたしは・・・、あたしは王女なんか好きでなったわけじゃない。あんたに何がわ
かるのよ。あんたは人と接することや愛することをちっともわかってない!
 あんたが求めてるのはあたしじゃない。地位や財産が目当てな乞食同然よ!!」
「そうかもな。姫にはもっと良い相手が見つかるだろ」
「陛下に報告して解消するわ。二度とあたしの目の前に現れないで!」
 エレンはそれだけ言うと馬車から飛び降りた。
 セオの乗った馬車が見えなくなるまで城下町まで走ると途中で誰かにぶつかった。
「痛! 誰よ、あんた?」
「なんだよ、心配してつけてきたのにな」
 ぶつかった相手はイムサイだった。隣にはアルテアとフェリアもいた。
「どうせやらしいことでも聞かれたんだろ?」
「何考えてるのよ、アルテア。違うわよ、ただバカにされただけ」
「何をバカにされたの?」
 フェリアが不思議な顔で訊くと、エレンは少し考えてから言った。
「あんたのために言ってきてあげたから」
「?? どういう意味? それじゃわかんないよ〜」
「うるさいわね、フェリア、あたし当分冒険者続けるわ」
 エレンが宣言すると、3人ともキョトンとした顔でエレンを見た。
「一生独身生活する気か?」
 イムサイが名残惜しそうに訊く。
「それもいいかもね。まだ結婚とか考えたくないのよ」
「いいけど、国王陛下がカンカンになって怒ってるぜ」
「どうして?」
「セオとかいうやつの身元調査したら、あいつ、結婚してやがるんだってよ。
 あいつの国じゃ何人でも結婚できるけどロンザじゃ違うだろ。
 んで、国王がそれを知って連れ返せって僕らに命令したんだ」
「それで、他の相手を探すって言って、今異国の使いの人がきてるみたいだよ」
 フェリアが補足する。
「なんですって〜? あの国王、あたしを結婚させたいんじゃなくて、出ていって
欲しいの間違いなんじゃないの?」
「っていうか、エレンをモノにする奴いるのかどうか・・・」
「きっと結婚してもさぁ、婿から『出ていってくれ』とか言われたりして」
「そうか、そうだな。そんでしまいにはバツイチとかな」
「そそ。陛下も大変だよなぁ」
「だな。ま、俺らには関係ねーけどよ」
 アルテアとイムサイの話に、エレンが無言で彼らを殴ったのはいうまでもない。
「あんたら、一生結婚できないわよ」
「いんや、俺たち許婚っていう手があるもんな」
「ねぇねぇ、あたしは?」
「フェリアは対象外。長寿なお前なら何度結婚できるかどうか」
「ひど、アルテア・・・」
 4人は笑いながら城下町に向かって並んで歩き出した。

〜今は今を自由に生きたい、たとえ、その道が誤った道でも、あたしはその道を
生き通してやる。 Fight!!  エレン〜

 2年後、エレンは本当に結婚する。それは、冒険で出会った人、同じ境遇の王子
で二人は土地も地位も財産も放棄して、遠い国で生活する。
 
         〜 f i n 〜


特別編C

 今まさに、ピンチの局面をむかえていたお馴染みの四人…。
「どうするの?」
 エルフのフェリアが目の前にいる透明なスライムの軍団を見つめて呟いた。
「どうしようか…」
 のんきにもイムサイがロングソードをつかんだまま同じように呟いた。
「エレン!」
 アルテアがエレンを促す。
「仕方ないわね……ライトニング!」
 呪文を唱えると透明なスライムの輪郭が見えてきた。
「気持ち悪い〜〜、ねぇ、もう帰らない?」
 持っていた杖でスライムをツンツン突っつきながらフェリアが言った。
「誰のせいでこんなことになったんだよ!?」
「このままじゃアンダーソン家から笑い者にされるよ」
 男2人はどうしてもこの塔をクリアしたいらしい。
「でも、これじゃぁ前に進めないよ」
 再びフェリアが講義すると、3人の視線が風使いに集まった。
「な…何よ、その目は。……わかったわよ、何とかすればいいんでしょ?」
 エレンが渋々言うと、パァ――と3人の目が輝いた。
 エレンはちらりとスライムを一瞥し、レイピアを抜き出した。
「そういえば、エレンがモンスターと剣で戦うのって初めて見るよね」
「だな…相当強いんじゃねーか」
「今まで剣術は僕達に任せっきりだったもんなぁ」
「弱かったりして」
「でもレベル19だよ?」
 3人のぼそぼそ声に気づきエレンは後方を振り返って言った。
「あんたらねぇ…聞こえてるわよ! 見てなさいよ」
 そう言うと、そのままスライムにむかって歩き出した。
「げっ、おいおい正気か?」
 アルテアが叫んだが、エレンの耳には届いていない。
「疾風・風塵斬!!」
ビュッ!!
 レイピアでスライムを斬った音が塔全体に響き渡った。スライムの輪郭が無残にも
チリチリバラバラになり、すぅ――と消えていった。
「おい、今の見えたか?」
 イムサイがアルテアに訊いたが彼は首を横にふり、お前は? という顔で訊く。
イムサイもまた同じように首をふり、フェリアにも目を向ける。彼女も手を振って
否定した。
 その後すぐにエレンの冒険者カードが眩しくフラッシュした。
「レベルアップしたのか? 20か?」
「違うわ。21よ…あのスライム意外と経験値もらえるのね……」
 開いた口が塞がらず、3人はただエレンを見つめるだけ。
「どこでそんな剣術覚えたんだ?」
「蛇の道は蛇ってことで…。残りのもやっつければいいでしょ?」
「…………」
「ちょっと聞いてるの?」
「あ、ああ。頼む」
 許可を得ると早速エレンは残りのスライムにも同じ技を仕掛けた。
「あいつの戦わないわけがわかった気がする…」
「怒らすと怖いな…」
「魔法も使えるしね…」

 この4人、実は冒険者カード書き換えの審査にひっかかったのである。
 あまりレベルがあがっていないため、筆記からやり直す羽目になるのかと予想し
たが、実力試験ということで、冒険者支援グループによる人工的な塔の再試験とい
うわけだ。
 パーティの平均レベルで行うため、実際の3人のレベルより少し上になる。フェリア
レベル7、アルテアレベル11、イムサイレベル10、エレンレベル19、平均レベル
は11.75…、約12の設定である。
 ここ最近怠けていたせいか、フェリアの更新の時にひっかかり全員のまでチェック
されたのだ。もっとも、エレンだけは楽にパスしたが、連帯責任で塔に行く羽目に
なったのだ。
 結局今まで手だしをせずにいたが、助太刀をすることに…。

「さっさとクリアしないとなぁ…」
 イムサイがフェリアをうつろな目で見ながら言った。
「あとはこいつだけだろ?」
 さらにアルテアが言う。

 この塔の仕組みは、冒険者支援グループが出した目標レベルをクリアすることで
再試験が終わるのだ。
 目標レベルは15、もちろん既にエレンは文句無しのクリア。アルテアとイムサイ
は、エレンに脅されて何とかクリア。残るは魔法使いのフェリアのみ…。

「無理だよ〜、あと6もあげるなんて…」
 フェリアは疲れた顔で言った。
 確かに、魔法使いなどと言う職業は魔力の消費が激しいため、塔やダンジョンでの
魔法を思う存分に使うことはない。
 しかも、威力もたいしたことないので倒せるモンスターが決まってくる。
「ここであきらめたら冒険者カード取り上げよ? それに魔力ぐらい使い果たして
も、ここなら大丈夫でしょう。
 決めるのはフェリアなんだからね」
 エレンがきっぱり言うと、フェリアは塔の先に進んだ。
「ちょっと言いすぎたかしら?」
「でも、ああでも言わねーとあいつ自身だめになるだろ」
「唯一の魔法使いだもんな」
「こうなったら最後までつきあうしかないものね」
「まっ、パーティ組んだときからそうだろうけどな」
「お〜い、フェリア、待てよ!」
 フェリアの後を、クリアした3人が追った。
           
           END


 2000年1月31日(月)22時19分〜2000年2月18日(金)19時14分投稿の、有希さんの小説「フェリアの日記」特別編B,Cを一挙掲載。

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